階下の人々9:ヘッド・ハウスメイド(メイド長)

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イギリスは格差社会の国です。階上の人々(貴族階級や紳士階級)と階下の人々(労働者階級)を分け隔てる壁は、絶対的なものでした。「二つの国民」というフレーズが有名ですね。しかし、人々を区分していた階級は、それだけではありません。階下の人々の間にさえも、階級差別は存在していたのです。むしろ使用人達の間での差別の方が、メイド本人にとっては直接的かつ切実な問題だったのではないでしょうか。
まぁ、今の日本にだって、企業内の経営層・管理職・平社員の壁とか、正社員・契約社員・派遣社員の壁とかありますからね。国や時代が違っても、その辺りはあまり変わらないのかもしれません(汗。


使用人達の階級は、まずは職種によるクラス分けがされていました。上級使用人と、下級使用人です。もっとも「二つの国民」みたいな出身依存の階級と違って、努力と才能と運次第では、経験を積むことで上位の職種へクラスチェンジすることが可能でした。代表的なところではこんなカンジです。


小姓(ページボーイ)→ 従者(フットマン)→ 執事(バトラー)
家女中(ハウスメイド)→ 蒸留室女中(スティルルームメイド)→ 家政婦(ハウスキーパー)
洗場女中(スカラリーメイド)→ 台所女中(キッチンメイド)→ 料理人(コック)


さらに同じ職種の中でさえも、序列付されていました。序列によって食事の時に座る位置さえ決まっていたそうです。軍隊並の階級社会です。体育会系です。ちなみにメイドの代表選手ともいえる家女中(ハウスメイド)では、こんなカンジです。


アンダー・ハウスメイド → ヘッド・ハウスメイド
サード・ハウスメイド → セカンド・ハウスメイド → ファースト・ハウスメイド


ですから日本語のメイド長に相当するのは、ヘッド・ハウスメイド(Head House Maid)、もしくはファースト・ハウスメイド(First House Maid)辺りが妥当でしょうか。たまにハウスキーパーを指してメイド長って訳すこともあるみたいです。家政婦よりも、メイド長の方が響きが萌えるからでしょうか。
「メイドくん」の作中のメイド長は、上司というよりは、バイトの先輩みたいな位置付けをイメージしてます。ほら、フィクションの中でぐらい、仲間の同僚達と楽しく仕事しててほしいじゃないですか。面倒見が良くって部下や同僚から慕われる先輩像って素敵ですよね。

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このページは、nadegakiが2010年5月24日 00:17に書いたブログ記事です。

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