階下の人々2:フットマン(従者)

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メイドの歴史を調べると、必ず出てくるのが使用人税のお話です。これは男性使用人に対して課税される税金で、女性使用人、つまりメイドには無課税でした。メイドさんが一気に普及した理由と言われています。


という訳で、男性使用人を雇えるのは、一部の上流階級の館に限られました。そして男性使用人で最もポピュラーな存在だったのが、フットマン(Footman)です。従者や従僕と訳されます。下級使用人に分類されるので、メイドの男性バージョンと表現できるかもしれません。
あ、ちなみに男性使用人として知名度の高い職種である執事(バトラー)は、上級使用人です。メイドというより家政婦(ハウスキーパー)に近い存在なので注意しましょう。ここ、テストに出ますよ!<出ません


主な仕事は、主人の身の回りの世話です。接客もします。具体的には食事の給仕や、外出先への同行、来客の案内や取り次ぎといったところです。主人やその家族、そして来客者の目に触れる仕事は、男性使用人の役割でした。そのため評価は見栄えが第一。背の高さで給料が決まるという、外見至上主義でした。ひどい、謝れ! 背の低いボクに謝れ!
すこし話を脱線してしまうと、男性使用人と違って、女性使用人が主人や来客者の前に姿を見せることは好まれませんでした。人知れず「妖精のように」仕事をすることを求められたのです。せっかくのメイドさんを見ることが出来ないなんて、何てもったいない! ヴィクトリア朝の偉い人は、大きな過ちをしていたと言わざるを得ないでしょう。<マテ


衣服にブラシを掛けたり、ブーツを磨いたり、新聞にアイロン掛けしたり、馬車を手配したりと、フットマンの仕事は広範囲に渡りました。もちろん石炭運びのような力仕事もしました。ただし、使用人が大勢居るようなお金持ちの館にしか雇われない存在だったので、何だかんだ言いながらも小さな家に雇われたメイド達に比べれば仕事は楽だったようです。


あと、ディナーや舞踏会に招待された時には、その屋敷のフットマンにチップを弾んでやる必要がありました。それをケチった客人は、フットマンに「うっかり」ミスを連発されて散々な目に遭ったようです。また業者への支払い処理なんかも担当したので、その際に商人からバックマージンを得るのは当然の権利でした。当時の日記を読むと「チップが少ない!」「あいつはケチだ!」みたいは話が満載です。いや、そんな人達ばかりではなかったとは思いますけどね!

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このページは、nadegakiが2010年3月 6日 22:03に書いたブログ記事です。

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